土地家屋調査士が行う「調査」とは?
国土交通省公共測量作業規程の用地測量にも資料調査という作業区分はありますが、あくまで精度の高い14条地図(国土調査地籍図)が管轄登記所に備え付けられており、土地所有者の所有権界に争いが無く、登記簿と現地と地図とが概ね整合しているという理想的な地域を対象としています。その証拠として、資料調査の中に、地積測量図・明示確定図・閉鎖公図の収集や復元測量・画地調整など立会前の作業が含まれていません。
全国的に見れば、国土調査が完了している県や、精度の高い公図(地図に準ずる図面)の整備されている所もありますが、残念ながら、鳥取県は、国土調査完了区域も少なく、備え付け公図の精度も決してよくありません。
とくに、戦後の一時期に乱開発が行われた地区では、慎重な調査を必要とします。
たとえば、里道を含めて市町村道が施工され、何度か拡幅された道路敷の隣接地を、さらに買収するような場合、旧土地台帳から閉鎖公図までその沿革を調査し、必要に応じて地図訂正や地積更正を行わなければ、表示に関する登記を嘱託することは出来ないのです。
誤つた調査で分筆を行った場合、ますます地図混乱の度合いを深め、もし訴訟にでも発展すれば、著しく竣工を遅らす結果となってしまいます。常に法務局の指導を受け、地元の事情にも精通した専門家即ち調査士による調査が是非とも必要なわけです。
公嘱協会へ発注するメリットは何ですか?
法務局での閲覧から、筆界調査及び立会、登記完了まで専門家である土地家屋調査士が一貫して処理いたします。官公署職員の方は煩雑な調査、測量、登記嘱託手続きから解放され仕事の合理化につながります。
現況と公図の食い違い等、筆界確定の困難な事実がよくあります。そんな場合も土地家屋調査士は、迅速に処理いたします。
登記事件の処理及び地積測量図への押印に関するトラブルについてはどのように対応しますか?
受託事件処理において発生した問題は、協会が責任をもって解決し、損害は協会が負担します。
国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、調査・測量していないのに、地積測量図に安易に署名・押印すると、境界紛争等のトラブルが発生した場合、国家賠償請求をされる可能性があります。
当協会では、土地家屋調査士である社員が責任を持って署名・押印しますので、万一、境界紛争等のトラブルが発生しても、当協会が、万全の体制で処理いたします。
登記申請に添付する地積測量図は土地家屋調査士以外の者が作製してもよいのですか?
地積測量図に作製者が署名捺印するのは、作製者に登記の結果に対する責任の所在を明確にすることにあり、土地家屋調査士以外の者が業として地積測量図を作製することは土地家屋調査士法第19条第1項に(改正法68条第1項)低触する(昭和57年民三第6010号民事局回答)となっています。
よって調査士以外の者が反復継続して他人(官公署、個人を問わない。)の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査・測量をすること及び地積測量図を作製することは、土地家屋調査士法第68条第1頂本文の規定に違反しております。
土地家屋調査士以外の者が業として不動産に関する調査、測量、登記手続きを反復継続して行った場合の罰則規定はありますか?
罰則規定があります。質問に対する罰則は・・・・・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。(土地家屋調査士法第68条・73条)
また、登記官は申請人等が明らかに法令違反をしている場合、注意勧告することとなっています。調査士法違反を理由に嘱託された登記を却下することは出来ませんが、度重なれば計画機関職員に注意を促すことはあり得るわけです。